「春桃」一巻は、私たち日本の作家に、それらの事情について思いをめぐらせずにはおかない迫力をもっている。

バルザックの「幻滅」は十九世紀において、ヨーロッパに出版業が企業として擡頭し始めた時代に、作者たちが、どんなにその営利業の本性をむき出した奸策と闘い、打算に抵抗し、頑強に作家として[#「作家として」に傍点]闘わなければならなかったかということを、暑くるしいほどに描き出している。 芥川龍之介が馬琴を...

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落華生「春桃」、冰心女士「超人」「うつしえ」、葉紹鈞「稲草人《かかし》」「古代英雄の石像」、郭沫若「黒猫」「自叙伝」等である。

「春桃」は昭和十四年に支那現代文学叢書第一輯として出されたものである。七篇の作品が収められている。落華生「春桃」、冰心女士「超人」「うつしえ」、葉紹鈞「稲草人《かかし》」「古代英雄の石像」、郭沫若「黒猫」「自叙伝」等である。 これら七篇の作品を読み、一貫してつよく心を打たれたのは、これらの中国の作...

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 情報局、出版会という役所が、どんどん良い本を追っぱらって、悪書を天下に氾濫させた時代があった。

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 情報局、出版会という役所が、どんどん良い本を追っぱらって、悪書を天下に氾濫させた時代があった。日配が、それらのくだらない本を、束にして、配給して各書店の空虚な棚を埋めさせた。今から三年ばかり前は、その絶頂であった。本らしい本をさがす心と眼とは、駄本の列の上に憤りをもって走ったのであった。...

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